CARDIOLOGY循環器内科
HIGH BLOOD PRESSURE高血圧
1
高血圧について
高血圧はほとんどの場合、自覚症状がありませんが、高血圧を放置したままにすると、心疾患・脳卒中・腎不全などを引き起こす原因となります。
2
高血圧の治療の目的
高血圧治療の目的は、血圧を正常値に下げることだけではなく、心疾患・脳卒中・腎不全などの発症を予防するためでもあります。
血圧を下げることで心疾患や脳卒中などで死亡するリスクが減少します。
血圧の正常値
日本高血圧学会の治療ガイドラインで若年者・中年者の場合は、診察室での血圧が140/90mmHg未満、家庭で測定した血圧が135/85mmHg未満を降圧目標値としています。血圧の降圧目標値は、年齢・糖尿病の有無・腎臓病の有無などによって異なった目標値が設定されています。
3
血圧が高値だったら
高血圧の方は、塩分を取りすぎている傾向にあります。
塩分の取りすぎは血圧上昇の原因の一つになります。
現在、日本人の平均塩分摂取量は1日12gですが、1日6gを目標にしていきましょう。
また、ウォーキング・水泳・サイクリングなどの有酸素運動を習慣的に行うことで、高血圧の改善が期待できますが、激しい運動は避けるようにしてください。
運動量の目安は、ウォーキング1万歩(1日/約1時間)・水泳30分(1日)・サイクリング1時間(1日)を1週間に3日以上行うようにしましょう。
塩分過剰摂取や運動不足ではなく、ストレスも血圧上昇に関係します。
十分睡眠をとり、休日は余暇を楽しむなど、ストレス解消を心がけましょう。
4
治療方法
健康診断や家庭で測定した血圧が高かった場合、まずは循環器内科を受診して下さい。
血圧の治療薬には、アンジオテンシンII受容体拮抗薬やカルシウム拮抗剤など多種類の薬剤があります。
年齢・糖尿病・腎疾患・心疾患の有無などを考慮しながら、適切な薬剤を選択して治療します。
ARRHYTHMIA不整脈
1
不整脈について
不整脈には、脈が速くなるもの・遅くなるもの・脈が不整なものなどがあります。
自覚症状は種類により異なりますが、動悸・めまい・立ちくらみ・失神・息切れ・胸部違和感などがあります。
不整脈が起こる原因として、心臓自体に原因があるものや甲状腺機能亢進症、電解質異常などの全身疾患に起因するものなどがあります。
狭心症・心筋梗塞・心筋症・心臓弁膜症など心臓の病気が原因となっている場合もあります。
不整脈の種類
不整脈は、脈が速くなる頻脈性不整脈・脈が遅くなる徐脈性不整脈・脈拍数に異常のない不整脈に分類されます。
脈拍数が1分間に100以上の場合を頻脈、60未満の場合を徐脈といいます。
上室性期外収縮、心室性期外収縮、心房細動・粗動、上室性頻拍、心室頻拍、心室細動、房室ブロック、洞不全症候群など、様々な種類の不整脈があり、その種類により治療方針も異なります。
検査方法
自覚症状や脈拍の異常から不整脈が疑われた場合は、心電図検査を行います。不整脈の種類によっては、発作時にしか心電図で異常を見つけられない場合があります。その場合には、24時間の心電図を記録するホルター心電図を使用して不整脈の有無を調べます。
2
治療方法
不整脈には、治療を必要する場合と必要としない場合があります。
治療を必要とする場合には、抗不整脈薬の内服、徐脈性のものにはペースメーカー植め込み術を行う場合があります。
上室性頻拍、心房細動、心室頻拍といった不整脈に対しては、心臓の中にカテーテルという電極を入れ、不整脈の発生部位を焼き切るカテーテルアブレーションという治療が行われることもあります。
ANGINA狭心症
1
狭心症とは
体の臓器は、栄養や酸素をもらい、正常に機能するためにそれぞれ重要な動脈をもっています。
心臓には冠動脈と言われる動脈があり、この動脈から栄養と酸素を心臓の細胞が受け取ることで、全身に血液を送り出すポンプとして働くことができます。
この冠動脈が動脈硬化や血管の痙攣で狭くなり、心臓への血液の流れが低下する状態になってしまうのが狭心症です。
冠動脈の動脈硬化を進める因子としては、高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙などがあります。
2
狭心症の症状
左胸・前胸部・みぞおちに締め付けられるような痛み、圧迫感、重しをのせられたような痛みがあります。
放散痛といって、歯茎の痛みや肩甲骨部の痛みを感じることもあります。
特に重い荷物を持って坂道や階段を上ったとき、雪かきをしたときなどの体を動かした際に1~5分程度の痛みがあり、安静により消失する場合には動脈硬化性の狭心症が疑われます。
就寝中の夜中~明け方にかけて数分から30分程度持続する胸痛がある場合は、血管が痙攣するため、血液の流れが低下する冠攣縮性狭心症が疑われます。
3
治療方法
狭心症の場合、心電図に異常が認められる場合と認められない場合があります。
心電図に異常がないからといって、狭心症は否定できません。
症状で狭心症が疑われた場合には、心臓超音波検査・運動負荷試験・心臓核医学検査・冠動脈CT・心臓カテーテル検査などを行い、診断します。
ARTERIOSCLEROSIS動脈硬化
1
動脈硬化とは
動脈は、心臓から豊富な栄養を含んだ新鮮な血液を送り出す血管です。
血液をスムーズに流すため、弾力性があり、管の内壁はとてもなめらかです。
しかし、内壁にコレステロールなどが溜まると、その血管が硬くなり、血液の流れが悪くなります。
この状態を動脈硬化といいます。
動脈の血液の流れが悪くなると、その先にある臓器が影響を受け機能低下を招き、様々な重篤な病気を引き起こす原因になります。
2
動脈硬化が引き起こす症状
動脈硬化は、脳卒中や大動脈瘤、腎不全や心筋梗塞などを引き起こします。
まだ動脈硬化になる原因は特定されていませんが、脂質異常症(血中コレステロールや中性脂肪の増加)、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、さらに肥満(メタボリックシンドローム)や喫煙も、動脈硬化を促す要因になることがわかってきています。
動脈硬化は初期の自覚症状がほとんどなく、静かに進行していくため、「沈黙の病気」と呼ばれています。
自覚症状が出た時には、かなり症状が進行した状態といえるでしょう。
症状がなくても、少しでも気になるという方は、生活習慣の改善や検診を受けるようにしましょう。
3
治療方法
動脈硬化の治療法は今のところ確立されていません。
薬で血液の通りを改善したり、手術で動脈を人工の物に換えるなどの治療法がありますが、これらは、動脈硬化が原因の合併症が重篤化したときに行われるもので、身体や普段の生活に、大きな苦痛や制限が生じます。
初期の自覚症状がないため、自分で気がつくことが難しいので、健康診断を受診し、糖尿病、高脂血症、高血圧など、動脈硬化をもたらす要因となる数値に異常がないかを積極的に確認していきましょう。
食生活の改善や運動、禁煙、ストレス対策も動脈硬化の予防に有効です。
MYOCARDIAL INFARCTION心筋梗塞
1
心筋梗塞とは
心筋梗塞は、日本人の死亡原因の上位となる疾患です。
突然死の原因にもなり、恐ろしい疾患の一つとして認識されています。
心筋に血液と酸素を送る冠動脈が動脈硬化で硬くなり、心筋に血液を送ることができない状態になることで、心筋が酸素不足に陥り壊死を起こしてしまう状態です。
胸をえぐられるような強烈な痛みを突然感じ、その痛みは約20分以上も継続します。
一度細胞が壊死すると二度と元の状態に戻ることはないため、迅速で的確な処置が必要になります。
2
心筋梗塞の症状
突然激しい胸の痛みに襲われ、胸をえぐられるような強烈な痛みが一定時間継続します。
血流が止まると、約20分で心筋細胞が壊死し始めるが、血管内の血栓が大きいほど破壊される心筋細胞の範囲も広くなります。
20分以上激しい痛みが続く場合は、心筋梗塞の可能性が高いといえます。
数時間経過すると痛みが引きますが、これは症状が治まったわけではなく、心筋細胞の壊死が終息し痛みを感じなくなったことによるものです。
そのまま放置すると呼吸困難・意識障害・血圧低下などの状態に陥り、最悪の場合は死に至ることもあります。
3
治療方法
心筋梗塞は、症状が出てから6時間以内の処置で生死が分かれるといわれています。
発症から6時間以内に血液の流れを再開させることができるかが非常に重要となります。
初期段階の対応としては、経皮的冠動脈インターベーションによる再灌流療法があります。経皮的冠動脈インターベーションは脚の付け根や腕などの血管からカテーテルを差し込み、狭くなった冠動脈を治療する方法です。
冠動脈の根本に閉塞部がある場合などは、緊急で冠動脈バイパス手術を実施することがあります。
冠動脈バイパス手術とは、詰まった冠動脈の先にバイパスを設けることで、心筋梗塞の原因となる心筋の血流不足を改善するために行うものです。